KLIMAX DS 対 AKURATE DS - 両機の音を聴き比べる [ファミリー]
私が自宅で音楽を聴くときは、リンのDSがメインソースである。
KLIMAX DSとMAJIK DSを前者は自宅、後者はネットオーディオ中心に新しく用意した第2試聴室で聴いているのだが、先日その2台を入れ替え、普段とは異なる環境で鳴らしてみた。
2つの試聴室はスピーカーがB&Wとウィルソンオーディオと異なることもあって、どんな違いが聴き取れるのか、あらためて確認してみようと思いついたのだ。
自宅と第2試聴室は少し離れているので、クルマでDS本体を運ぶ。ただし、音源はほぼ同じデータを入れたNASを両方に用意しているので移動する必要はない。ディスクには真似のできないネットオーディオならではの便利さを痛感する。
Sophia 3はSignature Diamondに比べて低域のスケール感に余裕があるので、KLIMAX DSをつなぐと、プレーヤーの空間情報再現力の違いがすぐに浮かび上がってくる。ホールの暗騒音や演奏会場の空気の動きがリアルで、しかもいったん音が出ると音像がピタリと安定し、ビクともしない。
その余裕と安定ぶりを確認したのは、96kHz/24bitで収録されたハイドンのピアノ協奏曲の録音だ。ピアノ独奏はジャズもこなすローランド・バティック、オケはアカデミア・アレグロ・ヴィーヴォ。HQMからダウンロードしたFLAC音源だ。
録音会場のコンツェルトハウス・ヴァインフィアテルがどんな場所かはわからないが、KLIMAX DSで聴くと低弦の振動が空気をふるわす瞬間が生々しく、演奏会場の空気がフッと蘇る感覚を味わえる。アドリブを交えての独奏がいかにも楽しそうで、オケのアンサンブルも絶妙の呼吸。そんな雰囲気が自然に伝わるところが、やはりフラグシップの余裕だと思う。
MAJIK DSとの差はある程度予測していたが、この機会にリンジャパンから最新のAKURATE DSもお借りし、KLIMAX DSとAKURATE DSの聴き比べにも挑戦してみることにした。フラグシップのKLIMAX DSに対し、最新世代のAKURATE DSがどこまで近付いたのか、以前から聴き比べてみたかったのだ。
一方で、この試聴にはそれなりの覚悟もいる。もしもAKURATE DSの音がフラグシップを上回るようなことがあったら…。
KLIMAX DS(左)とAKURATE DS(右)
実際に聴き比べてみる。付帯音で音がにじまない透明度の高さは、KLIMAX DSとAKURATE DSでほぼ互角といっていいレベルだ。どちらもステージの奧まで見通せる深い音場を再現し、ホールを満たす空気の実在感に息を呑む。ハイドンのピアノ協奏曲では演奏者の息遣いまで精妙に再現し、空気の僅かな揺らぎまで聴き取ることができた。
しかし、じっくり聴いていくと2台のDSの音調には微妙な違いも存在する。KLIMAX DSの音にはいい意味で落ち着き払った余裕があり、マスターの音に特有の異様なまでの静けさが、そのまま出てくるところがある。特にハイレゾリューション音源を聴き比べたときにその静かさが強く実感できるのだ。
ライヴ録音の音源を聴くと、音が出る直前の一瞬の緊張、全員の呼吸が揃ったときの雰囲気の変化など、これまでコンサートホールの中でしか体験できなかったような空気の動きがわかってしまう。静かな部分の静寂度が上がるほど、そのあとで実際に音が立ち上がったときのエネルギーやスケール感がひとまわり大きく感じる。AKURATE DSとKLIMAX DSの音調の差は、そこに理由がありそうだ。
聴き比べに使った音源は以前にも紹介したRipping Music Serverに保存したデータを使った。hush製シャーシを使った本体自体が完全なファンレス設計のオーディオ用NASで、ストレージにはSSDを内蔵する。一方、この製品とは姉妹機の関係にあるHDDモデルがこの春に発売された。
By 山之内 正
KLIMAX DSとMAJIK DSを前者は自宅、後者はネットオーディオ中心に新しく用意した第2試聴室で聴いているのだが、先日その2台を入れ替え、普段とは異なる環境で鳴らしてみた。
2つの試聴室はスピーカーがB&Wとウィルソンオーディオと異なることもあって、どんな違いが聴き取れるのか、あらためて確認してみようと思いついたのだ。
自宅と第2試聴室は少し離れているので、クルマでDS本体を運ぶ。ただし、音源はほぼ同じデータを入れたNASを両方に用意しているので移動する必要はない。ディスクには真似のできないネットオーディオならではの便利さを痛感する。
Sophia 3はSignature Diamondに比べて低域のスケール感に余裕があるので、KLIMAX DSをつなぐと、プレーヤーの空間情報再現力の違いがすぐに浮かび上がってくる。ホールの暗騒音や演奏会場の空気の動きがリアルで、しかもいったん音が出ると音像がピタリと安定し、ビクともしない。
その余裕と安定ぶりを確認したのは、96kHz/24bitで収録されたハイドンのピアノ協奏曲の録音だ。ピアノ独奏はジャズもこなすローランド・バティック、オケはアカデミア・アレグロ・ヴィーヴォ。HQMからダウンロードしたFLAC音源だ。
録音会場のコンツェルトハウス・ヴァインフィアテルがどんな場所かはわからないが、KLIMAX DSで聴くと低弦の振動が空気をふるわす瞬間が生々しく、演奏会場の空気がフッと蘇る感覚を味わえる。アドリブを交えての独奏がいかにも楽しそうで、オケのアンサンブルも絶妙の呼吸。そんな雰囲気が自然に伝わるところが、やはりフラグシップの余裕だと思う。
MAJIK DSとの差はある程度予測していたが、この機会にリンジャパンから最新のAKURATE DSもお借りし、KLIMAX DSとAKURATE DSの聴き比べにも挑戦してみることにした。フラグシップのKLIMAX DSに対し、最新世代のAKURATE DSがどこまで近付いたのか、以前から聴き比べてみたかったのだ。
一方で、この試聴にはそれなりの覚悟もいる。もしもAKURATE DSの音がフラグシップを上回るようなことがあったら…。
KLIMAX DS(左)とAKURATE DS(右)
実際に聴き比べてみる。付帯音で音がにじまない透明度の高さは、KLIMAX DSとAKURATE DSでほぼ互角といっていいレベルだ。どちらもステージの奧まで見通せる深い音場を再現し、ホールを満たす空気の実在感に息を呑む。ハイドンのピアノ協奏曲では演奏者の息遣いまで精妙に再現し、空気の僅かな揺らぎまで聴き取ることができた。
しかし、じっくり聴いていくと2台のDSの音調には微妙な違いも存在する。KLIMAX DSの音にはいい意味で落ち着き払った余裕があり、マスターの音に特有の異様なまでの静けさが、そのまま出てくるところがある。特にハイレゾリューション音源を聴き比べたときにその静かさが強く実感できるのだ。
ライヴ録音の音源を聴くと、音が出る直前の一瞬の緊張、全員の呼吸が揃ったときの雰囲気の変化など、これまでコンサートホールの中でしか体験できなかったような空気の動きがわかってしまう。静かな部分の静寂度が上がるほど、そのあとで実際に音が立ち上がったときのエネルギーやスケール感がひとまわり大きく感じる。AKURATE DSとKLIMAX DSの音調の差は、そこに理由がありそうだ。
聴き比べに使った音源は以前にも紹介したRipping Music Serverに保存したデータを使った。hush製シャーシを使った本体自体が完全なファンレス設計のオーディオ用NASで、ストレージにはSSDを内蔵する。一方、この製品とは姉妹機の関係にあるHDDモデルがこの春に発売された。
By 山之内 正
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